【起業する時に事務所は必要か?】
以前、アメーバブログでも書きましたが、私の周囲で独立した人は、世間のデータと比較すると、何年たっても事業を継続している確率が非常に高いです。
年商こそばらつきがあるものの、一旦フリーランスになったり、自分の会社を立ち上げたりしたら、そのビジネスで末永く続けている人が多い印象です。
ただ、廃業した人がゼロでないことも事実。
私の業界(食品関係です)で2~3年で廃業した人を見ていると、あるひとつの共通点がありました。
それが、「固定費の多さ」です。
とある独立した知人について、「あの業態で、あの立地のオフィスを借りるなんて、ずいぶん思い切ったなあ。こんなに羽振りがいいということは、何か副収入でもあるのかなあ」と思ったことがあったのですが、その方は2年ほどで廃業なさって会社員に戻っておられました。
客観的に見て、最初に固定費を高く設定していなければ、2年で看板を下ろすようなことにはならなかったと思います。
何もしなくても出ていく経費ですからね、固定費は。
最初に必要性を見誤ると、一番恐ろしい経費だと思います。
オフィスを借りる理由は、以下のようなものかと思います。(※製造業などはまったく当てはまらないと思うので、あくまでも一人起業を想定してください。)
1)仕事をする空間の確保
2)仕事で使う書類、用具、サンプルなどの置き場
3)来客を受け入れる場所の確保(商談、商品販売など)
4)営業活動の効率化(食品関係のように足で稼ぐ営業が多い業態は、便利な場所のほうが効率がいい)
5)登記できる住所をもつ
6)顧客からのイメージ・信頼感アップ
でもですね、ここまで通信網や交通網が発達した世界であれば、以下のような考え方もできると思うのです。
1)仕事をする空間なんて、パソコン1台で仕事が回せる業種であれば、自宅で充分。自宅では仕事ができない理由がある場合は、公園のベンチやカフェでも仕事はできる。
2)仕事で使う書類、用具、サンプルなどの置き場を考えると、確かにオフィスがあると便利かな。でも、トランクルームを借りたり、いっそ倉庫と契約という選択肢もある。
3)来客を受け入れる場所は、自宅が広ければ自宅の一室を事務所にしてしまえば可能では?自宅が狭い場合は、喫茶店などを有効活用。法人相手の仕事なら、相手先の事務所に常にうかがうようにすれば問題なし。
4)駅が近いと確かに営業活動には便利だけど、ここまでインターネットや宅配便が発達している世の中であれば、お客様と直接会う機会をどこまで減らすことができるか、検討してもいいのかも。
5)自宅住所でも、法人として登記できる。賃貸だと登記を躊躇する気持ちもわかる。でも、わざわざ大きなオフィスを借りずとも、今は登記OKなスモールビジネス用のオフィスもあるので、条件が合えば活用してみては。
6)確かに、便利な場所に立派なオフィスがあるとイメージがいいし、お客様の信頼感もアップするとは思うけれど、ビジネスの本質は人と人とのつながり。最初のイメージは大事だけど、決してそれだけではない。特に今はインターネットで情報を取る人も多いので、外にオフィスを構える代わりに立派なホームページを作っておけば、オフィスがなくても安心感を与えられる可能性は高い。
実は私も、オフィスを借りていた時期がありました。
独立当初は固定費をとにかく減らして、その分の経費を他の営業活動に回したかったので、「オフィスを持たない」選択をしていた私でしたが、フリーランスから法人なりを考えたことを切っ掛けに方針転換しました。
そんな時、会社を設立するのに自宅の場所では不都合があると思い、シェアオフィスに入居したのですが、実体験をベースにしたメリットとデメリットをご紹介します。
<メリット>
・自宅の住所を公開しなくてよいなど、プライバシーが守られる。
・自宅の冷暖房費がかからない。
・仕事中の誘惑がない。
<デメリット>
・毎月の固定費が上がる。
・交通費がかかる。
・お茶や食事の準備が面倒。
そんなわけで、しばらくシェアオフィスに入居して仕事をしていたのですが、そもそも、フリーランスのフットワークの軽さが売りなのに、わざわざ法人なりする必要があるのか?と自分のプランを見直したことから、1年未満でオフィス退去決定。私のような業務の場合、出張がちで、また自宅から持ち出せない資料も多いので、法人なりしない限りはメリットがあまり感じられなかったのです。固定費については、メリットが無いと感じた時点で早々に切り捨てる勇気が必要だと実感しました。
この固定費の「損切り」をできない人が、2~3年で廃業していくことが多いんですよね。
メリットとデメリットを比較して、常に固定費を低く抑えておくことが、起業が成功するコツだと思います。